奄美の夜光貝の美しさ貴重さ

◯夜光貝は真珠層を持つ巻き貝では最大である。
◯主に奄美近辺の夜光貝は生息域が北限にあたるため、成長が遅い代わりに緻密な真珠層を形成する。
◯奄美には藻類を食する夜光貝にとって、紅藻類、緑藻類の海草が豊富にあるため、最も美しい光沢を放つ。
 奄美の海が創ったすばらしい贈り物である夜光貝のそのものの魅力を自分の手で全て引き出し、奄美、日本いや世界の中でも誇るべき貝であることを皆様にも知ってもらいたいと思うようになり、本格的に貝細工を行うようになりました。
 夜光貝は、古来から螺鈿細工の材料や洋服のボタンとして殻の内側の隠れた真珠層のみ利用されてきました。
 私は、そのものの美しさを引き出してあげたいと思い、夜光貝の外側の緑色部、または巻き貝としての外形を生かした貝細工にも興味を持ちました。細工行程において、夜光貝を外側から研磨、彫刻し、その堅い殻質、磨く際に出る粉塵等に苦労しています。
 また、真珠層が美しい光沢を放つためには、ゆっくり時間をかけて、丁寧に磨く必要があり、とても根気と時間がいる大変な作業です。
 現在、自宅の横に専用の作業室を設け、その作業室で白鳥等の造形、奄美の自然を描いた彫刻、ランプシェルや装飾品(ネックレス、ネクタイピン等)を造っています。
 私は夜光貝を通して自然の尊さを知り、そしてそれを守っていくことの必要性を強く感じています。近年では、赤土等による海洋環境汚染が進み、奄美の自然、海、珊瑚礁にとっても深刻な影響が出ていると思います。そのことは、珊瑚礁に生息している夜光貝(既に沖縄県ではほとんど採れなくなっている)にとっても影響は大きく、また乱獲の影響もあり、資源量の減少が目に見えています。私は、このような諸問題に夜光貝の貝細工の作品、展示会の開催、または栽培漁業を通して取り組み続けていきたいと思います。
 忙しい現代社会は、私達の心を癒し、安らぎを与えてくれる自然の恵みを忘れかけているのではないでしょうか。私は、少し目線を変えれば見ることのできる無限の自然の素晴しさを再度見直して欲しいという願いと思いを、古より変わることのない輝きで人々を魅了し続けてきた南離島の夜光貝を通して今後も訴え続けていきたいと思います。

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