「基山大宝」は、沖縄全島一横綱として名を馳せた「戦闘シャネル」の3番目の牡牛として伊仙町崎原の基山闘牛生産牧場で生まれた、徳之島生え抜きの横綱牛である。2009年10月の全島一大会で、地元生え抜き初の中量級王座に就くと、10年1月から11年1月の大会まで4度のタイトル防衛に成功。挑戦牛不在となる中で、中量級優勝旗を返納して全島一挑戦を決断しその夢を実現した。
同年5月の全島一大会において、1トンクラスと思えぬ圧倒的なスピードと角さばきの巧みさで悲願の全島一優勝旗を獲得。10月の全島一大会では、相手に戦意無く不戦勝で初防衛を果たし、多くの闘牛ファンが期待した今年1月の防衛戦でも圧倒的存在感で相手の戦意を奪い、僅か2秒で勝利した。
チャンピオン3度目のタイトル防衛を阻もうと挑むは「純新開発枠組会」。08年5月の大会で若手有望牛対決を制し、一躍名を知らしめた。そのような評判と内側に鋭く曲がったガン角を武器とするため相手に警戒されることも多い中、10年から昨年5月までの3戦を全て短期戦で制し現在4連勝中。
特に昨年5月、新潟県長岡市のいわゆる越後闘牛界から徳之島全島一の座を狙い移籍した、「亀山工業天地人」との激闘を覚えている闘牛ファンは多いはずだ。その際は、相手の腹取り速攻で柵に追い詰められるも巧みに回り込み、再び対峙すると道具(角)を有効に使い、敵の眉間を刻むようなダメージを与えて戦意を奪い、一気に形勢逆転し勝利をもぎ取った。
そのため、基山大宝のいわゆる“爆弾速攻”に対しても、柵に張り付けられることなく回り込めるかを多くの闘牛通が注目している。これまで、角を突き合わせると同時に見舞われるすさまじい速攻をまともに受けて持ちこたえられた牛は無く、ことごとく敵を軍門に下してきた。そこを凌いで対峙出来れば、勝機は見えてくる純新開発枠組会。
一方の基山大宝は、前々回は不戦勝、前回は対戦タイム2秒と言う対戦内容に、相当うっ憤も溜まっており、一気にけりを付けようとするのではないか。
果たして、どのような結果が待ち構えているのか日増しに期待が高まっている。全国各地の闘牛ファンが勝利の行方を見守る全島一優勝旗争奪戦。チャンピオン基山大宝、それともチャレンジャー純心開発枠組会、勝利の凱歌を上げるのはどちらか。
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